[#004]マウスで絵を描く+SmartScrollは便利

(2004/12/26)

パソコンでイラストを描いてます、と言うと必ずのように聞かれる質問があります。

「タブレットで描いてるんですか?」

タブレットを使ってすらすら絵を描く姿。わかりやすいですよね。マウスを使って絵を描こうとしてもうまく描けないものです(特に、Windowsの付属アプリ「ペイント」のような半端なソフトを使うとそうなります)。プロはやっぱりタブレットを使ってるんだろうなー、やっぱりタブレットじゃないと絵は描けないよな〜。そう思っている人はきっと多いでしょう。

ここでクイズです。私は自著「動物の見つけ方、教えます!」で表紙イラストとのべ79種の動物イラストを描きました。この作業全体の中で、タブレットの使用率はどれほどだったでしょうか?

「そりゃーもー、タブレットばりばり使いっぱなしでしょー!」と思う人多数、でしょうか。実際はその逆で、ほぼすべてマウスで描いてます。タブレットも使ってますがかなり限定的です。例えば、カモ類の羽の描写で一部使用、表紙イラストのカワセミの羽の描写で一部使用、という程度です。他にも使ったかもしれませんが、忘れてしまうほどの頻度でしかありません。実際、やろうと思えばタブレット無しでもすませられるものです。

もっとも、作業のある程度の部分はExpression3というベクトル型のグラフィックソフトを使っているという事情もあります(Expression3はIllustratorに近いソフト。こちらも参照のこと)。Expression3はその性格上、タブレットを必要としないのです(使うこともできるが、私は使っていない)。
もちろんPhotoshopも使っています。色塗り作業の80%はPhotoshopでやっています。Photoshopではタブレットも有効な道具ですが、それでも、やはりマウスでたいていのことはできてしまうのです。
「タブレットが無いと、筆圧の強弱の表現ができないし、線の太さの変化がつけられないでしょう?」という質問がありそうです。それはその通りです。しかし、それを回避する描き方はいくらでもあるのですよ。


「動物の見つけ方、教えます!」の仕事では、タブレットよりもSmartScrollがずっと役に立ちました。SmartScrollについては、詳しくはワコムのホームページをご覧ください。簡単に説明すると、SmartScrollとは左手用のトラックボールです。といっても動かすのはマウスカーソルではありません。ウィンドウを上下左右にスクロールさせるのです。
絵を拡大して描いている時、もうちょっと左の方にスクロールさせたい、もうちょっと上の方にスクロールさせたい、っていうことがよくあります。縦スクロールはマウスホイールで対応しているのですが、横スクロールはそうもいきません。いちいちスクロールバーにマウスカーソルを持っていくのは面倒なことです。
SmartScrollならトラックボールをころころと転がすだけでスクロールできるのですからとても便利です。しかも左手用なので、右手のマウスの邪魔になることはありません。
また、トラックボールとは別についているホイールがあり、これを使って拡大/縮小ができるのも便利です。いちいちキーボードに手を伸ばさなくていいのですから。
Photoshopとの相性は非常に良く、作業中はほぼ常に使っていました。Illustratorではスクロールの感度が良すぎてちょっと使いにくい感じです。設定を微調整をすればなんとかなるかもしれません。Expression3では、画面のスクロールは「スペースキーを押しながらドラッグ」という方法になじんでしまっていたためSmartScrollを使うことはありませんでした。というか、MacではExpression3には対応していないんですよ! Windowsでは対応ソフトがいっぱいあるのになあ…。


以上をまとめますと、

・絵を描くにはタブレットは必ずしも必要ではない

・SmartScrollは作業の効率化になる(そんなに高価ではないし)

ということになります。
ただし、人によって道具との相性というものはあります。タブレットが一番使いやすいと思う人も当然いるわけです。これは個々人がいろいろ試してみるしか確かめようがないことです。結局、何かとお金がかかるということですよね(T_T)。

なお、私が使用しているSmartScrollはSS-200、使用OSはMac OS X 10.2です。


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