[#007]2004/12/19

テレビに出るともうかるか?

今年(2004年)、私はNHK(首都圏のみ放送)に2回、民放に1回出演しました。このことについて、「テレビに出てもうかったんじゃない?」とか、「テレビに出たぐらいでいい気になりやがって!」と思われたりしているかもしれません。そこで、この場でこれらについて回答をしておきたいと思います。「いきもの通信」の方で書くにはちと内容が離れすぎているので、ここにこっそり書くことにします。

まず、「もうかるか?」ということについて。
答えは「もうかりまへん」。日当程度の報酬しか出ません(いくらぐらいかは想像にお任せします)。だって、私はタレントでもなければ俳優でもありませんから。テレビ局というものは、一般人相手にはこの程度の額しか出さないのだということは知っておいた方がいいですよ。よっぽどの有名人かえら〜い先生なら額も上がるかもしれませんがね。(ちなみに、「TVチャンピオン」は優勝すれば賞金50万円がもらえる。)
ちょっと例を挙げると、「どうぶつ奇想天外」の予算の大半は出演するタレントさんのギャラだといいますし、そのギャラのそのまた大半は司会のみのもんた氏のものなのだそうです。テレビとはそういう世界なのです。
ロケの内容も、NHKで「トンボの観察」をやった時は昼食時間を含めても5時間で完了するという、超手際よく進むこともありますが、TVチャンピオンの時は20時間以上も拘束されるというかなり無茶なスケジュールでした。それでも報酬額はあまり変わらなかったりするから不思議なものです。


次に、テレビに出ることに批判があることについて。
動物関係の人でも、テレビに出たがる人がいる一方で、テレビ嫌いの人(というかマスコミ全体に不信を持つ人)がいます。後者の人は前者を「売名だ」とか「誤ったイメージをばらまいている」とよく非難します。私は「出たがり」の方なので(笑)、これには反論せざるを得ません。
これは私の場合なのですが、私がテレビに出るのは動物について、自然観察の面白さについて、もっと多くの人に知ってもらいたいからなのです。それにはテレビという媒体は非常に効果的であり、これを利用しない手はありません。
「売名行為だ」との声に対しては、私の意見を世間に知らせるには名前を覚えてもらうことも大切なのだ、と反論します。本を1冊出した程度ではまだまだ無名の部類です。テレビを通じて名前を広めれば、私の意見を知ってもらうきっかけにもなるでしょう。ただ、これもはっきり言っておきたいことですが、テレビに何回か出たところで仕事が増えるということはありません。名前を覚えてもらうにはマスコミに何度も何度も繰り返し登場するぐらいでないとだめで、私程度では「売名」にもあたらないのです。

ただ注意しなければならないのは、特にテレビの場合、自分が言っている事を正確に伝えられるとは限らないことです。つまり、テレビ局側が都合のいい部分だけを編集して、本当に訴えたいことが伝わらない危険性があるのです。テレビ嫌いの人は、この「正確に伝わらない」ことを嫌っているのです。これには私も同意します。私のような一出演者には編集の権限はありません。ロケが終わったら、後はテレビ局または制作会社に任せなければならず、口出しはできません。ですから、私でもはっきり言ってテレビはこわいです。
もちろん、このリスクを可能な限り回避する方法はあります。それは、責任者(ディレクターやリポーター)に対して自分の意見をこんこんと徹底して説くことです。こちらの考え方を理解してもらえれば、そんな変な番組には普通なりません。
でも、どんなに説明してもちゃんと理解してもらえない場合はどうするか? そんな番組には出ません! 私でもそれぐらいは番組を選びますよ(でも「TVチャンピオン」に出たことはちょっと失敗だったかなと思ってる)。
しかしまあ、こんなことを言えるのも私がマスコミ業界出身で、その内情もわかっているからかもしれません。マスコミに安易にあこがれているようでは、簡単にマスコミに利用されてしまうだけでしょう。そこのところはどうぞご注意ください。


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