イラストを描くにしろ、文章を書くにしろ、仕事中にBGMはほしいものです。昔はCDなりMDを使っていたのですが、iTunesが登場してからはもっぱらこればかり使っています。iTunesは本当に革新的なソフトウェアでした。
iTunesとくれば当然iPod。私も当然のようにiPod(10GB)を使っています。ですが、やっぱり重たいし、HDDを積んでいるので故障がこわいです。もう3年も使っているのでいつクラッシュするかわからないのです。
そういうこともあって、先日iPod shuffle(1GB)を買いました。いやあ、これはいいですね。とにかく軽くて邪魔にならないのがいいです。ソニーの製品も人気だそうですが、iPod shuffleと比べると重たく感じてしまいます。現在、私のiTunesのデータは約18GBもあるのですが、聴く曲はだいたい固定する傾向があるので1GBのiPod shuffleでも十分といえます。iPod shuffleに入れてない曲はiPodなりMac本体で聴けばいいわけですから。この切り分けをうまくやるのがiPod shuffleの上手な使い方といえるでしょう。ただ、iPod shuffleにも問題はあります。ディスプレイが無いぐらいは許せる範囲です。最も問題なのがプレイリストが1種類しか選べないこと。これだけは使い勝手が悪いです。
ランダムに曲を選ぶという音楽スタイルを提示したアイディアはとてもいいと思います。私もランダムを楽しんでいます。でもいつもランダムばかりでは面白くありません。特定のアルバムなりプレイリストを聴きたくなることってありますよね。そういう時、いちいちiPod shuffleをパソコンにつなげてデータを書き換えるというのは面倒です。
かといって、「順番に聴くもの」と「ランダムに聴くもの」をいっしょにiPod shuffle内に混在させるのはあまりいいやりかたではありません。ランダムに聴いている時に「順番に聴くもの」が出てきたら興ざめですし、「順番に聴く」時に多数の曲の中から頭出しをする時は何度もボタンを押さねばならず面倒です。
やっぱり複数のプレイリストまたはアルバムを選択できるようにならないものでしょうか。この問題は、そのうちいつかは新製品やシステム・ソフトウェアのアップデートで解決されることでしょう(例えば容量が2GBになるとそういう方法が絶対に必要になってきます)。
しかし、それまで待っているというのも我慢できません。そこで、それを実現する方法を考えてみました。その方法とは、「順番に聴きたい」CDをまるごと1つのトラックにまとめてしまうというものです。その手順を書いてみましょう。
1. CDを読み込む時、すべてのトラックを結合して読み込ませます(「詳細設定」メニューの「CDトラックを結合」を使う)。すると、CD全体が1つの曲データファイルになります。
2. このデータをiPod shuffle用のプレイリストの先頭に置きます。
3. 必要ならば他のCDも同じように1つのファイルにし、プレイリストの先頭に並べます。実際に使用する時は次のようにします。
・「順番に聴きたい」アルバムを聴く場合は、「順番にプレイ」にすれば数回先送りボタンを押すだけで、聴きたいアルバムを頭出しして聴くことができます。アルバムの中のそれぞれの曲の頭出しはできませんが、通しでアルバムを聴くのが目的ですので特に問題はないでしょう。
・ランダムに聴きたい場合は普通に「ランダムにプレイ」で聴きます。もし、「順番に聴きたい」アルバムの曲が現れたら、先送りボタンを1回押すだけでいいのです(時にはそのまま聴きつづけてもいいでしょう)。こうすれば「順番に聴くもの」と「ランダムに聴くもの」をうまく共存させることができます。私はこの使い方に満足しています。
※Tips:プレイリストの先頭に戻るには、スイッチを「順番にプレイ」にして、再生ボタンを連続3回押します(1秒以内)。これを知ってないとなかなか先頭に戻れません。
※注意:トラックを統合したデータを再生すると、後半あたりからノイズがひどくなる場合があります。60分以上のCDでよくそうなります。デコーダーの(ソフトウェア側の)バグだと思うのですが、原因不明です。これを回避するには、1トラックに統合するのではなく、前半・後半と2トラックに分けて統合してください。使い勝手が若干悪くなりますが、これぐらいは我慢の範囲内です。
この方法の問題点は、「CD丸ごとを1つのデータにはできるが、プレイリストを1つのデータにすることはできない」ということです。自分オリジナルのプレイリストというのもiTunes上でいくつか作ってあるのですが、現状ではiPod shuffleで使うのはあきらめています。
※無圧縮でiTnuesに読み込む→プレイリスト作成→音楽CDを作成する→iTunesでトラックを統合して読み込む、という方法はありますが、手間がかかりすぎます。
いずれにせよ、次の製品では複数のプレイリストを使用できるようにうまく工夫してほしいものです。
ついでに私が「CD丸ごと1トラック」にしている音楽を紹介しましょう。
・栗コーダーカルテット(「栗コーダーポップスオーケストラ」名義)「よつばと♪」
知る人ぞ知る栗コーダーカルテット。私はファーストアルバムの時からのファンです。このCDは漫画「よつばと」のイメージアルバムといったものです。ボーカル無し。「よつば」という元気な女の子のある夏の1日を交響曲風に描いた作品です。だから順番通りに聴かないと意味がないのです。いろんな楽器が登場する楽しいCDですが、栗コーダーのファン以外にはわかりづらいかも。
最近のファンの方は「アニメ音楽の人たち」という認識が強いかもしれませんが、栗コーダーの音楽の方向性はそれだけではありません。栗コーダーについては「アンソロジー」を聴くのが一番わかりやすいと思います。・メロキュア「メロディック・ハード・キュア」
アニメ「ストラトス・フォー」の主題歌が入っているなあ…と思ってレンタルしたら、アルバム全体がとても良かった、という掘り出し物。もともと「元気な女性ボーカル」は好きなのです。「外来水生生物事典」のイラストを描いている時のBGMとして大活躍しました。
・菅野よう子「TANK! THE! BEST!」
「カウボーイ・ビバップ」の音楽CDは数あれど、最後の最後に出たこのベスト盤が一番まとまりがあって聴きやすいです。テレビシリーズや映画で使われたあの曲この曲が懐かしく楽しめます。
・アストル・ピアソラ「In Concert」
ピアソラのCDはいろいろ買いましたが、一番最初にたまたま手にしたこのCDがやっぱり一番いいな、と思うのです。確か980円という超格安でした(@タワーレコード)。現在は入手困難かと思います。いつ、どこでの録音かも表示されていない怪しさですが、このCDでピアソラにひきこまれてしまいましたね。ライブ録音ならではの選曲、アレンジ、ノリが良いのです。パーカッション無し、という編成もまた面白い。ピアソラは他にも「名盤」と呼ばれるものがあるのですが、私はこれが一番好きです。
インディーズ盤です。ホームページで試聴できます。AUSIA、というよりも私にとっては一噌幸弘のCDととらえています。ジャンルはなんでしょうねえ。一噌幸弘は能楽の笛方で、このCDでも能笛や田楽笛などを使ってますが、ジャンルはモダン・ジャズですかね? 大きなくくりでいえばジャズになるんだろうけれど、それをも超えてしまうような音楽です。とにかく聴け!としか説明のしようがないです(ホームページで試聴できます)。一噌幸弘はCDはあまり出していないので貴重なCDです。ジャズ・スポットなんかではよくライブをやっているんですが。このCDはホームページの通販で買うとライナーノーツもついてきますんでお得です。一噌幸弘がかかわるとライナーノーツも面白くなるんだな、これが。
・アンドリュー・ロイド・ウェバー「The New Starlight Express」
ウェバーというと、「CATS」や「オペラ座の怪人」といった名作ミュージカルで有名な作曲家です。名作ぞろいの中で私が好きな作品のひとつが「Starlight Express」です。世界中の鉄道が集まって大レースをするという、ウェバーにしてはちょっと変わった設定です。この作品はテーマも明るく、それぞれの曲も良くまとまっていて聴きやすい良作だと思います。主題曲「Starlight Express」、「U.N.C.O.U.P.L.E.D.」は特に好きな曲です。「The New 〜」は初演の9年後にリニューアルされたバージョンです。曲の入れ替えがある他、同じ曲でもアレンジが変更されるなどされています。旧版、新版とも甲乙つけがたいのですが、とりあえず「New」の方を入れておくことにしました。
以上の6つのアルバムの他に、ランダムで聴く単独曲100曲が加わって全712MBというのが私のiPod shuffleの現在の状況です。これで頻繁にデータの書き換えをすることなく、便利に使えてます。iPod shuffleの使い勝手に戸惑っている方、iPod shuffle便利な使い方がわからず購入に躊躇している方には是非試してもらいたい方法です。