[#011]2009/9/6

Wikipediaの人物紹介記事は信頼できるか?

Wikipediaで時々問題になることのひとつが、「存命中の人物の記事の真偽」です。
Wikipediaにある人についての記事が載る。それを読んだ当人が抗議する。話がこじれる。という経過をたどることになります。当人が加わらなくても、その人物をどう評価するかで論争が発生することがあります。
といっても、まあ、他人事ですから私には直接関係ないことです。私はWikipediaに載るような有名人ではありませんから。

と思っていた2009年8月、ネット検索をしていた私はWikipediaに自分の記事が出現していることに気がつきました。ところがこの記事というのが…。まずは記事を読んでみてください。
以下は2009年9月1日現在の記事のコピーです(リンクは省略しています)。

宮本 拓海(みやもと たくみ、1967年-)は、フリーの動物ジャーナリスト、イラストレーター、都市動物研究会理事。

略歴

1967年 - 福岡県福岡市生。
(株)アスキーに勤務し、CD-ROM書籍の編集、ディレクターとして従事する。
1999年 - (株)アスキー退社。以後、フリーで活動し、執筆、イラスト、写真など広範囲に渡って活動している。

(株)アスキー勤務時代に手掛けたCD-ROM書籍

日高敏隆監修 海野和男著 『マルチメディア昆虫図鑑』 アスキー、1995年、ISBN 978-4756105035
田口哲 『マルチメディア魚類図鑑』 アスキー、1996年、ISBN 978-4756115041
千石正一 『マルチメディア爬虫類両生類図鑑』 アスキー、1998年、ISBN 978-4756118578

著書

佐々木洋監修 『動物の見つけ方、教えます! - 都会の自然観察入門』 数研出版、2004年、ISBN 978-4410138096
共著 『外来水生生物事典』 柏書房、2005年、ISBN 978-4760127467
イラスト担当 『シンカのかたち - 進化で読み解くふしぎな生物』 技術評論社、2007年、ISBN 978-4774130620
共著 『タヌキたちのびっくり東京生活 - 都市と野生動物の新しい共存』 技術評論社、2008年、ISBN 978-4774135250
『害虫の科学的退治法 - 大嫌いなゴキブリ、カ、ハエ、ムカデなどをわが家から追いだす方法は?』 ソフトバンククリエイティブ〈サイエンス・アイ新書〉、2009年、ISBN 978-4-7973-5335-8

参考文献

佐々木洋監修 宮本拓海著 「執筆者略歴」『動物の見つけ方、教えます! - 都会の自然観察入門』 数研出版、2004年。
宮本拓海 『害虫の科学的退治法 - 大嫌いなゴキブリ、カ、ハエ、ムカデなどをわが家から追いだす方法は?』 ソフトバンククリエイティブ〈サイエンス・アイ新書〉、2009年。

外部リンク

いきもの通信
Takumi & C.B.
いきもの通信+電脳工房Takumi & C.B.
東京タヌキ探検隊!

この記述に間違いはありません。しかし、この記事内容にはかなりがっかりしてしまいました。

この記事の元ネタになっているのは、書籍に掲載した私の略歴です。この「略歴」というものはほとんどの場合、著者本人が書いています。ですからこのWikipediaの記事は間接的に私自身が書いたとも言えます。これはWikipediaのルール「自分自身の記事をつくらない」に抵触するように思うのです。略歴は本人が書くため、都合の悪い情報は載せないからです。残念ながら略歴は中立的な内容ではないのです。
また、略歴は文字数が限られているため、すべての過去の成果を書けるわけではありません。私がやってきた仕事は上の記事に書かれたものだけでは当然ありません。まあ、全部載せると煩雑になってしまいますが。

いずれにせよ、この記事の内容はわかりきった事実しか並べていません。Wikipediaでなくても調べられる情報です。まったく存在意義がない記事だと言っていいでしょう。
そして、「宮本拓海」がどういう人物なのかまったくわかりません。
そもそも、「動物ジャーナリストって何だ?」とか「やけに動物学に詳しいみたいだけど学歴は?」とか「どんな絵を描いてるの?」とか「タヌキの研究してる人がなんで害虫に詳しいの?」とかツッコミどころはいろいろあるわけですから、そういったことを調査して調べればもっとずっと有益な記事になるでしょう。
こんな上っ面の記事を書いたところで、利用者には役に立たないのです。「情報不足の人物」の記事はそもそも作成しない方がいいのではないでしょうか。

あることないこと書かれて紛争になるよりもマシですが、中身の無いことを書かれるというのも本人をがっかりさせるものであることが今回はよくわかりました。

本当はこの記事は削除してしまいたいところですが、Wikipediaの説明をいろいろ見ていると、どうも簡単には削除できないようです。
例えば、私が実名で何かを書き込んでも、「あなたが本人である証拠はありません」ということでまともにとりあってもらえないようです。確かにそれはその通りですが、記事を書かれた人にかなり不利な仕組みになっているように私には思えます。
また、記事を削除してもらいたくても、記事内容に重大な誤りがあるわけではなく、削除対象にはなりそうもありません。

Wikipediaについてはその内容についていろいろと批判があるのは知っていましたが、いざ自分がその当事者になってみると、確かにがっかりなものであることがはっきりとわかってしまいました。
Wikipediaの記事は永遠不変ではありません。今後、もうちょっとまともな内容になることを期待するしかなさそうです。


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