「怪傑ロゼ」

はこんな話


[ストーリー]

販売会社の営業部員、高千穂静音(たかちほ・しずね)は、ある日突然、尾形製作所への出向を命じられた。そこで待っていたのはパワードスーツ「プロト2」のテストパイロットの仕事だった。
極秘テスト中に偶然ひったくりをやっつけた彼女は、「怪傑ロゼ」を名乗り、調子に乗って悪事を次々に退治していく。「怪傑ロゼ」の活躍は、正体不明の義賊としてマスコミでも話題になる。だが、パワードスーツに関心を持っていたのは米軍も同じだった。常人をはるかに上回る運動性、それに装甲をつければこれは「究極の歩兵」になるのだ。米海兵隊もやはり同様のパワードスーツを開発していたが、「怪傑ロゼ=プロト2」は脅威を感じさせる存在だった。しかし日本は同盟国、そして開発元もはっきりしない。米軍はひそかに怪傑ロゼの奪取を狙い始めた。
偽の情報におびき出されて、米軍のパワードスーツと対決するロゼ。総合力に劣るロゼはプロト2にダメージを受け、絶体絶命の危機に! そこに現れた赤いパワードスーツは、米軍パワードスーツを退け、ロゼを救った。
当面の危機は去ったが、米軍は執拗な工作を続けてくる。高千穂静音は、プロト2はどうなるのか? そして、赤いパワードスーツのパイロットは誰なのか? 請うご期待!


[主な登場人物]

高千穂静音(たかちほ・しずね)

25才。販売会社の営業部員、のはずだったが、尾形製作所へ突然出向を言い渡される。そこで待っていたのはパワードスーツのテストパイロットの仕事だった。名前とはうらはらに、おしゃべりで目立ちたがりやでお調子者。体操やチア・リーディングの経験があり、運動能力は優秀。

尾形専務

尾形製作所の社長の長男。パワードスーツ・プロジェクトの責任者。プロジェクトは極秘に進められている。2児の父親。

野川小百合(のがわ・さゆり)

パワードスーツ・プロジェクトのソフトウェア担当。16進数でコードをダイレクトに打ち込むことができるプログラミングの天才。また、ロゼをサポートするオペレーターも務める。

加世田巌(かせだ・いわお)
内之浦準(うちのうら・じゅん)

パワードスーツ・プロジェクトのハードウェア担当。2人は同期入社。加世田はセンサー系、構造系を、内之浦は駆動系を主に担当している。
ロゼを運用する時は、加世田は支援トラックの運転担当、内之浦はパワードスーツのモニタリング担当。加世田は「ガンちゃん」と呼ばれることが多い。

大神智江(おおがみ・ともえ)

ペットショップ「ファウナ」店長。おっとりしていてとても優しい店長さん。店は尾形製作所の近所にあり、高千穂静音にとっての心のオアシスの場所になっている。一児の母。

大神啓一(おおがみ・けいいち)

大神智江の夫。元警察官らしい。ペット店を手伝うこともあるが、探偵業、特に動物探偵を主な仕事としている。無口で、ちょっと見はこわい印象。

鳥飼鈴(とりかい・すず)

農林水産省のエリート。尾形製作所とは過去にいろいろと因縁があるらしい。政府中枢とコンタクトをとれる立場にあるらしく、情報・事情通。一応、尾形製作所をサポートするのが任務のようだが、農林水産省の仕事はほったらかしですか?(笑)

プロト1パイロット=ミスター・バーミリオン

正体不明。高千穂静音が着任した時にはもう尾形製作所を離れていた。だが、ひそかに復帰し、プロト3開発にさまざまなアドバイスをした。本人はこの件にあまりかかわりたくないらしく、なかなか姿を現さない。バーミリオンのパイロットなので、社内では「ミスター・バーミリオン」と呼ばれている。

松戸理子(まつと・りこ)

動物探偵・理子もなぜか登場。おなじみ動物探偵も今は大学院で博士論文に取り組む研究者。論文執筆の研究のため遠くのフィールドに長期滞在中。

[パワードスーツ]

プロト1

最初のパワードスーツ(強化外部骨格)試作機。技術的な問題を検証するために作られたもので、外から構造が丸見えであった。本来は、力仕事である建設や福祉目的で開発された。テストパイロットは「ミスター・バーミリオン」。

プロト2=怪傑ロゼ

パワードスーツの性能の限界を実験するために作られた試作2号機。テストパイロットは高千穂静音=怪傑ロゼ。パイロットの動きに瞬時に追随し、普通の人間の5〜20倍のパワーを発揮できる。例えば、走れば時速80km、ジャンプすれば10階建てビルの屋上までも達する。

プロト3=バーミリオン

プロト2へ移行後、プロト1はいったん放棄された。しかし、アメリカの不穏な動きを察知した尾形製作所は、構造を全面的に改装した「プロト3」をひそかに完成させた。パワーも装甲も強化したプロト3は武装こそ持たないものの、十分に強力な兵器になった。ロゼを救った赤いパワードスーツの正体がそのプロト3。パイロットは「ミスター・バーミリオン」が復帰している。
プロト3では装甲内に人工筋肉を効率的に配置したため、外見はまったく異なるものになってしまった。その姿は甲虫のような節足動物を思わせる。
ちなみに装甲色は赤だが「ロゼレッド」ではなく「バーミリオンレッド」。そのため尾形製作所では「バーミリオン」と呼んでいる。
米軍の対戦車ミサイルに対抗するため、追加装甲と攻撃用腕スパイクを追加した「プロト3a」に発展する。

プロト4=ダミー1

一般に公開するために作られたパワードスーツ。怪傑ロゼとの関係を疑われるとまずいので、大幅にスペックダウンした貧弱なものになっている。だからコードネームも「ダミー」。

プロト5

武装と装甲を持った米軍パワードスーツに対抗するにはこちらもそれに合わせて強化するしかなかった。強敵にいかに対抗するか、高千穂静音と技術スタッフが選んだ道は…。

米軍パワードスーツ「ゴッゴル」

海兵隊と陸軍が開発研究中。日本に現れたのは海兵隊の方。
パワードスーツは「究極の歩兵」ではあるが、長距離移動なら飛行機や輸送車の方が効率的だし、すぐに量産できるものではない。そこで当面の目標として小規模テロ制圧、都市制圧など限定的な用途が考えられている。武装は内蔵せず、普通の銃器類を持つ。装甲はAK47カラシニコフなど自動小銃程度では問題にならないほど十分。対戦車砲が相手だとさすがにダメですが、小さいし、素早いので撃っても当たらないでしょう。
「ゴッゴル」とは高千穂静音が勝手につけた名前。「かっこわるくて悪役っぽい」というのがネーミングの理由とか(笑)。実際の米軍でのコードネームは不明。
※「ゴッゴル」の本当の意味はネット検索してみればわかります。